2016年06月13日

風疹にかかるのは何歳の人?

風疹(ふうしん)は子供がかかる病気でしょうか? ー YES

ところで、麻疹(はしか)、おたふく、水痘(水ぼうそう)などの感染症は、なぜ子供がかかるのでしょう?

感染症は、病原体なしに自然発生的には罹りませんから、誰かからウイルスをもらう必要があります。
赤ちゃんの頃は、おもに親や祖父母など家族と過ごしますから、感染する機会は「通常」まれです。
家族以外の人と濃厚な接触が始まる保育園や幼稚園、小学校低学年の時期に感染することが多いです。

これらのウイルス感染症は、基本的には終生免疫が得られるので、二度罹りしません。
免疫がなければ誰でも罹りうるのだけど、はじめて感染した時だけ発病するので、結果的に「子供時代に済んでしまう」病気となります。

これらのウイルスは感染力が強いだけでなく毒性も強く、麻疹は脳炎や肺炎を合併し、数年経ってから SSPE という不治の脳炎を起こすこともあります。水痘も脳炎と肺炎を起こしますし、皮膚の水疱から細菌感染することもあります。おたふくは無菌性髄膜炎や難聴などの深刻な合併症を起こします。風疹は、感染しても本人の症状は強くありませんが、妊婦が感染すると胎児に先天性風疹症候群(CRS)と呼ばれる脳や心臓、耳や目の永続的な障害を起こします。
幸いワクチンが開発されており、1歳になったら定期接種のMR(麻疹・風疹混合)、水痘と、任意接種だけどおたふくかぜワクチンを接種し、小学校に上がる前に2回目の接種を受け、感染症から身を守ることが推奨されています。

さて、話を風疹に戻します。ワクチンが効果的なので、いま子供の風疹は多くありません。
実は、風疹の多くは成人が、とくに昔にワクチンを受けていなかった人が罹っているのです。

下図は、今年(2016年)に風疹と診断された人の年齢分布です。
オレンジが20歳代グリーンが30歳代紫が40歳代です。
スクリーンショット 2016-06-13 08.46.56.png

賢明な読者はお気づきと思います。いま風疹患者の多くは、妊娠する年齢の女性、またはパートナーが妊娠する年齢の男性が占めているのです。ですから、風疹の患者自体は多くなくとも、風疹の毒性が存分に発揮されやすい人が重点的に風疹に罹っている状況なのです。

過去に風疹ワクチンを2回受けていることが確実、ないし血液検査で免疫があることが確認できている人以外は、ワクチン接種を受けましょう。
posted by 久住英二 at 09:31| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月29日

天然痘

前回、種痘伝来の読書記について書きました。いろいろ調べていくと、とても興味深く、いろいろな本を買い込んでしまいました。
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天然痘オタクまっしぐらでございます。

しかし、過去の病気だと思われている天然痘ですが、こんなホットなニュースがありました。
天然痘ウイルスは、いままで世界で2カ所の、高度封じ込めレベルの研究室に保管されていました。ところが、NIHの古い倉庫を片づけていたら、ウイルスの入った瓶があった!と。

CDC Media Statement on Newly Discovered Smallpox Specimens

On July 1, 2014, the National Institutes of Health (NIH) notified the appropriate regulatory agency, the Division of Select Agents and Toxins (DSAT) of the Centers for Disease Control and Prevention (CDC), that employees discovered vials labeled ”variola,” commonly known as smallpox, in an unused portion of a storage room in a Food and Drug Administration (FDA) laboratory located on the NIH Bethesda campus.


何てこったい!ですね。
なにしろ、この天然痘ウイルスは、バイオテロに使われる危険が以前から示唆されていて、厳重に保管されていたのですから!臨床医学雑誌の最高峰 The New England Journal of Medicine にも、総説が掲載されたことがありました。
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日本では、1976年に種痘が廃止されたので、約40歳未満の人はほとんどが天然痘に対する免疫がありません。しかも、過去よりも都市化が進んでいますから、発生した場合は大流行することが予想されます。

Guardian 紙も『厳重保管されていた天然痘ウイルスを廃棄しようか、という議論は近視眼的だったね』という論調。何しろ、ラボの倉庫にコロンとウイルスが転がっているのだから、世界中のどこにウイルスがあってもおかしくないですものね。

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日本では、種痘は中止されていますが、天然痘テロのリスクに対して、ワクチンの国家備蓄をおこなっています。いまはワクチンは化血研が製造しています。ちゃんと効果も確認済み!

Original Contribution | March 11, 2009

Clinical and Immunological Response to Attenuated Tissue-Cultured Smallpox Vaccine LC16m8

Context The attenuated, tissue-cultured, third-generation smallpox vaccine LC16m8 was administered to vaccinia-naive infants in Japan during the 1970s without serious adverse events. It is a good candidate for use as part of a prevention plan for bioterrorism.

Objective To assess the immunogenicity and frequency of adverse events of LC16m8 vaccine in unvaccinated and previously vaccinated adults.

Design, Setting, and Participants Between 2002 and 2005 we vaccinated and revaccinated 1529 and 1692 adults, respectively, in the Japan Self-Defense Forces with LC16m8 vaccine, given intraepidermally using a bifurcated needle. Vaccinees were examined 10 to 14 days after vaccination to determine if they had developed a major skin reaction (“take”). Neutralizing antibody responses among 200 participants were assessed using a plaque-reduction neutralization test 30 days postvaccination. We monitored vaccinees for adverse events for 30 days postvaccination.

Main Outcome Measures Documentation of a vaccine take, presence of neutralizing antibody response, and frequency of adverse events.

Results The proportions of take in vaccinia-naive and previously vaccinated individuals were 1443 of 1529 (94.4% [95% confidence interval {CI}, 93.2%-95.9%] and 1465 of 1692 (86.6% [95% CI, 85.0%-88.2%]), respectively. Seroconversion or an effective booster response among the individuals with take was elicited in 37 of 41 (90.2% [95% CI, 81.2%-99.3%]) vaccinia-naive participants and in 93 of 155 (60.0% [95% CI, 52.3%-67.7%]) previously vaccinated participants. One case of allergic dermatitis and another of erythema multiforme, both of which were mild and self-limited, were suspected to be caused by vaccination. No severe adverse events were observed.

Conclusion Administration of an attenuated tissue-cultured smallpox vaccine (LC16m8) to healthy adults was associated with high levels of vaccine take and seroconversion in those who were vaccinia-naive and yielded an effective booster response in some previously vaccinated individuals.
posted by 久住英二 at 15:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月18日

プレママチェック

2013年に風疹が大流行しました。

なんと私の身の回りでも・・・
・結婚したばかりの看護師が、風疹ワクチンを何回うっても抗体価があまり上がらないので、妊娠するか迷っている。
・妊娠中の女性医師が、先日会ったときに風邪気味だった兄が風疹だったけど、大丈夫か心配!
とても心配しましたが、いまでは二人とも元気な赤ちゃんに恵まれました。

今回の流行で、先天性風疹症候群の赤ちゃんが40人以上産まれています。
その背景には、何ヶ月も心配しながら過ごした母親や、流産してしまった方など、沢山の方が不安になり、悲しい、つらい思いをしています。それを何とかしたい!と思って、いままで風疹について仕事をしてきました。

妊娠中に感染すると赤ちゃんに影響の及ぶ感染症の代表格は風疹ですが、ほかにも沢山あります。

T oxoplasma トキソプラズマ
O thers ほかいろいろ(りんご病のヒトパルボウイルスB19など)
R ubella 風疹
C ytomegalovirus サイトメガロウイルス
H erpes ヘルペス

頭文字をとって TORCH(トーチ)症候群と呼びます。
詳しくはこちら→ 『トーチの会』ホームページ

ナビタスクリニックが手伝えることは、情報発信と、アクセスの良い立地を活かして、免疫の有無を気軽にチェックしてもらい、ワクチンを打ってもらうことだ!と思いました。

情報発信は、日経トレンディネットの編集者、Y 女史にお願いしました。沢山の記事を掲載してもらいました。


そして、駅ナカのナビタスクリニックでは、安価で感染症のスクリーニング検査を受けていただけるようにしました。さすがにワンコインとはいきませんが・・・。

B型肝炎(HBs抗原・抗体、HBc抗体)
C型肝炎(HCV抗体)
HIV(スクリーニング用の検査ですから偽陽性が多いです。陽性の場合は確認検査が必須です。)
梅毒(TPHA、RPR)
麻疹・風疹・おたふく・水痘・サイトメガロウイルス・トキソプラズマ・ヒトパルボウイルスB19は IgG 測定
費用は 10,000円+消費税です。

この費用を高いと捉えるか、安いと捉えるかは、価値観によりますが、ギョーカイの皆様からは「メチャ安い!」との評価をいただいております。
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同様に、パートナーが変わる際にも、感染症のチェックを受けてもらえるように、パートナーチェンジの感染症スクリーニング検査も提供しています。

成人が新たにB型肝炎に感染する場合、ほとんどが性交渉によります。
そのへんの話って、あんまり知られていないですよね。

日常生活では感染しないって言いますけど、『ソレ』って、日常生活じゃないんでしょうか?
肝炎全般については、ロハス・メディカルに詳しく解説されています。

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みなさん、感染症について知り、ただしく防ぎましょう。
それが、あなたのためであり、あなたの家族のためです。
そして、電車であなたの隣に座っている妊婦さんのためであり、社会のためです。
posted by 久住英二 at 15:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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