2016年06月21日

日本の虫よけ薬に漸く進歩が

これまで、さまざまなメディアを通じて、日本の蚊よけが弱すぎて使えない!という話をしてきました。

スクリーンショット 2016-06-21 08.33.05.jpgスクリーンショット 2016-06-21 08.34.24.jpg日刊ゲンダイ20160610虫除けforBlog.jpg


デング熱、ジカ熱、チクングニア熱全てを媒介するヒトスジシマカは、まさに今活動期を迎えています。ウイルスは感染者が持ち込み、それを蚊が媒介します。デング熱、ジカ熱は不顕性感染(感染していても症状がでない)の人が多く、自覚的には全く健康な international traveler がウイルスを持ち込み、その人が蚊に刺され、その蚊が他者を刺すことで感染が拡がっていきます。

ジカ熱の流行国は増えているので、感染してウイルスが体内にいる状態の人は、すでに何人も日本を訪れているはずです。
なぜなら、海外渡航した日本人が帰国後に発症している例が多数出ているからです。流行国に住んでいて感染している人が日本に来ているケースも数多あると考えるべきでしょう。
http___ecdc.europa.eu_en_healthtopics_zika_virus_infection_zika-outbreak_mapszika_Zika-map-past3months-historical-worldwide.png

ジカ熱の流行地帯マップ(European CDC ページより

デング熱はワクチンが開発されていますが、以下の問題点があります。
1)デング常在国でない日本人が接種した場合の有効性が不明
  ーワクチンの臨床試験は、すべて流行国で実施されている
  ーすでに免疫を有する人が一定割合いる集団での有効性は、デング熱ナイーブの日本人には外挿できない
2)接種数年後で免疫が減弱した際にデング熱に感染した時の重症化リスクが不明
  ーデング熱は中途半端に免疫があると症状が強くなるので
  ー流行国では定期的にウイルス感染するので、免疫が保たれる

チクングニア、ジカ熱のワクチンは、まだ開発中です。あと何年もかかると予想されます。
ということで、今のところ最も確実な対策は「蚊に刺されないこと」です。

蚊に刺されないための対策
1)肌を露出しない(長袖、長ズボンの着用)
2)淡色や明るい色の服を着る(蚊は黒い色がだーい好き)
3)虫よけ剤を使う(DEET, Picaridin = Icaridin)
4)窓は開放せず網戸、できればエアコンで空調 → なければ蚊帳も
5)蚊取り線香など使う(有効成分の濃度が低ければ効かない)

いままでの日本では、DEET は最高濃度が 12%、Icaridin が 5% で、3時間ほどで効果が切れていました。
かつ、薬液の皮膚への付着が少ないスプレー製剤が好まれるので、さらに効果が現れにくいという二重苦でした。
結果として  虫よけ効かない → 使わない  という残念な選択をする方が少なくありませんでした。

ところが、先日、厚生労働省 Good Job ! という通知が発出されました。
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発売は今年の盛夏には間に合わないかも知れないけれど、日本の虫よけが漸く一歩前進することを、嬉しく思います。

アース製薬さんには
 1)スプレー製剤でなく、液体ポンプもしくはローションタイプ
 2)ウォータープルーフの製剤
                    の開発を期待しています。
posted by 久住英二 at 16:21| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月30日

外国人向け医療サポートサービス mediPhone

皆さん、外国人の方々が日本で医者にかかるのって、すごく大変なこと、ご存じでしたか?

医療機関を受診しにくい理由
・どの医療機関を受診したら良いか分からない
 ー病院?クリニック?何科?

・日本の健康保険制度が分からない
 ー費用がいくらかかるのか分かりません

・言葉が通じない
 ー外国人の全てが英語を話せるわけではないし、日本の医師の多くが英語で診療できない

実際に、ナビタスクリニックに受診された方の話です。
フィリピン人で、日本の男性と結婚し、日本で暮らしています。
母国語はタガログ語で、英語は少し話しますが、ディテールまでは伝えられません。
夜になると息が苦しくなる、とのことで喘息として治療を受けてきましたが、改善しません。
時間をかけてよくよく話を聞いてみると、夫から暴力を受けていて、夫が帰ってきて家にいる夜間は、パニック発作が起きている、ということが分かりました。

日本語が上手に話せない外国人妻が受診する際には、日本人である夫が通訳として同伴されることが多いです。そのような場合、このような事実をインタビューにより聴取することは不可能です。

また、外国人が沢山勤める工場のある地方では、会社の通訳がついてくれることがあります。でも、プライベートな話や性感染症などのことは、話しにくいですよね?

そこで、気軽に第三者による医療通訳が受けられる方法は無いか?と考えました。
Japan Institute for Global Health さんと協力して mediPhone を開発してきました。
mediPhone は多言語で電話を使って医療通訳が受けられるシステムです。
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とても便利なシステムで、すでに多くの医療機関に契約いただいてます。

いままでは、医療機関が契約していましたが、このたび個人が契約して mediPhone を利用いただけるようになりました。これならば、受診する医療機関が契約していない場合も、安心して利用できます。普段は外国人が来ないような地方で、体調不良時にどの医療機関でも受診できるようになりますから、利便性が格段にアップします。
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受診したくても出来なかった、日本にお住まいの外国人の皆さんが、安心して過ごせることを願っています。

プレスリリースはこちら
posted by 久住英二 at 11:03| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月29日

アメリカの大学生がクリニック訪問

毎日暑い日がつづきますね〜。
でも、だんだん体が慣れてきた感じですね。

今日は、川崎クリニックにエール大学とスタンフォード大学の学生さんが遊びに来てくれました。
将来は医師か、公衆衛生の専門家を目指しているそうです。
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米国には、当院のような駅ナカにあって、朝から夜9時まで診療しているようなクリニックはなく、新鮮に映ったようです。

当院の概要や、開設した目的について説明しました。

・1日あたり受診される方の数(約 1,000人)
・ゲートキーパーの役目
 (軽症の方を診療することで、近隣の大病院では重症患者のケアに集中できる)
・受診される方にフレンドリーな仕掛け:夜遅くまでの診療受付や、時間予約
・医療機関に行くのでなく、いつもの通り道にある、というアクセスの良さ(駅ナカ)

米国ではウォルグリーンなどの薬局内にナースプラクティショナーがいて、ワクチン接種などは受けられるが、こんな本格的なクリニックが駅のショッピングビルの中にあるのは見たことがないそうです。

また、日本の医療を取り巻く問題について、議論しました。

・病院ベッドは削減の方向にあるが、患者は溢れかえること
・医療ニーズが増大するため医師不足はつづくこと
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(医師が将来余ると言うが、20年後に病棟で働く医師数は殆ど増えていない)

・首都圏の医師不足が喫緊の課題であること
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(東京都多摩地区、埼玉・千葉・茨城・神奈川の医療ニーズが爆発するが、医師がいない)

・医療がどこまでやるべきか、死生観の確立が必要であること

米国も医師不足ですが、首都圏で医師不足が悪化することに驚いていました。

これからも交流していきたいと思います。


posted by 久住英二 at 23:20| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする