2016年06月15日

ラガーマンはワクチン接種を!

ワールドカップ 2015 以来、日本でのラグビー人気が上がっています。草ラグビープレーヤーの1人として、とても嬉しく感じています。6 月 25 日 味の素スタジアムでの Scotland vs. Japan の試合、楽しみです!調布が熱く盛り上がっている頃、残念ながらスタンドではなく、大学同窓会の理事会で新潟におります・・・。

ラグビーは、結構怪我をします。切り傷での出血なぞ日常茶飯事です。サッカーやアメフトでも、擦り傷くらいは当たり前でしょう。傷口からは血液や黄色い汁(滲出液)が出ますが、これは素手で触らない方が良いことはご存じだったでしょうか?

日本から、アメフトの同じチーム内で、B型肝炎の水平感染が起きた、というケースが報告されています。
Horizontal Transmission of Hepatitis B Virus Among Players of an American Football Team

B 型肝炎は、体液の接触を介して容易に他者に感染します。日本では、B 型肝炎慢性感染者(=ウイルスが血液中に存在しているが、肝炎が起きておらず、自覚症状もない人)が 1 % 弱ほどいると推定されています。B 型肝炎ウイルスに感染したことのある人(HBc 抗体陽性者)は 25 %!ほどもいます。

B 型肝炎は、成人では性行為による感染が7割ほどを占めます。
スクリーンショット 2016-06-15 18.32.56.png

ですから、性的に活動性が高い年代の人は、慢性感染者でなくとも一時的にウイルスが血液中にいることは『よくあること』と考えるべきです。


となると、生傷が絶えないようなコンタクトスポーツをする場合、B 型肝炎ウイルスが感染する恐れがあります。幸い、B 型肝炎にはワクチンがあります。初回、1 ヶ月後、6 ヶ月後の 3 回接種(筋肉注射がのぞましい)で、95 %程度の方が免疫を獲得することができます。
なお、今年の秋からは、0 歳児を対象として定期接種が始まります。
厚生労働省 B 型肝炎ワクチンの定期接種化について


ちなみに、我々医療従事者は、学生実習前にワクチン接種を済ませています。なぜなら、体液に触れる機会が多く、感染のリスクがあるからです。なぜ B 型肝炎がそれほど忌み嫌われるのか?それは、肝細胞癌というタイプの肝臓がんの原因になるからです。

B 型肝炎ウイルスに感染すると、3 割ほどの方が急性肝炎を発症し、そのうち 1 割程度が慢性肝炎に移行するとされています。慢性肝炎の方が肝細胞癌を発病します。
感染しても 7 割ほどの方は無症状で済みますが、ウイルスは肝細胞の中に一生潜んでおり、例えば抗がん剤治療や、リウマチでの免疫抑制治療を契機にウイルスが一気に増え、劇症肝炎を起こして死亡する例が数多く報告されています。急性肝炎、慢性肝炎にならなければ良い、という病気ではないのです。


ワクチン接種の費用は、多くの医療機関では 3 回接種で総額 15,000 〜 20,000 円程度です。
コンタクトスポーツをされる方、またはお子さんがラグビー、アメフトなどコンタクトスポーツをされる保護者の皆様は、B 型肝炎ワクチン接種について、是非ご一考いただきたいものです。
posted by 久住英二 at 18:33| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ワクチンの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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