2014年08月19日

ナースのお仕事@トラベルクリニック

こんにちは、ナビタスクリニック立川の看護師です。


当院には『トラベルクリニック』という診療科があります。


トラベルクリニックでは、旅行や海外渡航に伴って生じる健康問題に対するアドバイスやワクチン接種、予防薬の処方を行っています。当院では、日本旅行医学会の認定資格をもった看護師が複数名おり、専門知識をもって接種にあたっています。今回はトラベルクリニックで、看護師がどのようなことをしているか紹介いたします。


1)まず患者さんには問診票を書いていただきます。

その上で看護師が過去の予防接種歴の有無、回数、罹患歴の有無、接種希望のワクチンなど確認します。母子手帳は接種歴を確認するものなので忘れずにお持ちくださいね。 


2)つぎに問診票を元に医師が診察、ワクチン接種スケジュールを作成します。

渡航先や滞在期間、現地でのアクティビティによって必要なワクチンが変わります。

たとえば、ボランティアツアーで孤児院の子ども達に接する場合は、短期の滞在でも、B型肝炎や百日咳を含む3種混合ワクチン接種をおすすめしています。大学生の方が参加されることが多いですから、B型肝炎ワクチン接種は性交渉による感染を防ぐ上でも有効ですからね。


3)医師の指示により、看護師はワクチンを準備し、接種します。

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その際ワクチン接種後の注意点や、今後のスケジュールの確認、不明点の有無など確認します。子どもだけでなく、注射は大人でも嫌なものですよね。私たちは、看護師として、接種を受ける方への苦痛が少しでも軽減されるよう、配慮しています。声かけや呼吸の指示、楽な姿勢をとってもらう、など環境を整えたりします。

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(※接種を受けているのは当院スタッフです。)

それでも、まれに注射により一時的に気分が悪くなる方もいらっしゃいます。看護師として血圧測定や症状の観察をおこない、必要なときにはベッドに横になってもらうなど対応します。


4)2回目以降の受診の方はスケジュールを確認した上で必要なワクチンを接種します。

前回の接種後に、何か問題が起きなかったか、なども質問しています。また、患者さんがご希望のワクチン以外でも、場合によってはこちらから接種をすすめさせていただくワクチンもあります。

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以上がトラベルクリニックでの看護師の仕事内容です。

皆さん、不安に感じたり疑問に思うことがあれば何でも気軽に看護師に聞いてくださいね。

posted by 久住英二 at 14:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ワクチンの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月13日

パーソナルゲノム

日本でも、DTC(Direct to Consumer:消費者直販)での遺伝子検査が始まりましたね。

DeNA は、東大医科研のゲノム解析センターと提携して MYCODE というサービスを提供開始しました。これは、全ゲノムを調べるのでなく、SNP(Single Nucleotide Polymorphism)を解析するサービスです。

SNP には個人差があり、それが、その人が特定の病気に罹りやすいか、薬が効きやすいか、薬の副作用が出やすいか、などに関連します。この MYCODE では、最大280項目について検査を受けることができるそうです。

しかしながら、SNP で『高リスク』だから絶対に病気になるわけではありませんし、『低リスク』だから安心していられるわけではありません。メタボ高リスクの方がジムに通ったり、食事を気をつけることでメタボを予防できるかも知れませんし、がん高リスクの方が、きちんとがん検診を受けることで早期発見と治療に繋がるかもしれません。

アンジェリーナ・ジョリーさんは、ご自身のお母さんも婦人科系の癌で早世されたことから、BRCA遺伝子を調べ、異常が見つかり、将来的にがんになるリスクが高いことから、予防的に乳房を切除することでリスクをなくす、という決断をしました。
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しかし、米国ではパーソナルゲノム解析に対して、消極的な反応が起きています。以前は 23andMe などのサービスが複数ありましたが、いまは当局の規制により、消費者に病気のリスクなどの情報を提供するサービスはなくなりました。

FDA(U.S. Food and Drug Administration:アメリカ合衆国における、医薬品などの規制当局)が、23andMe に対し、サービス提供を止めるよう発出した警告文の一部抜粋です。
Some of the uses for which PGS is intended are particularly concerning, such as assessments for BRCA-related genetic risk and drug responses (e.g., warfarin sensitivity, clopidogrel response, and 5-fluorouracil toxicity) because of the potential health consequences that could result from false positive or false negative assessments for high-risk indications such as these. For instance, if the BRCA-related risk assessment for breast or ovarian cancer reports a false positive, it could lead a patient to undergo prophylactic surgery, chemoprevention, intensive screening, or other morbidity-inducing actions, while a false negative could result in a failure to recognize an actual risk that may exist. Assessments for drug responses carry the risks that patients relying on such tests may begin to self-manage their treatments through dose changes or even abandon certain therapies depending on the outcome of the assessment. 

だいぶ要約すると、BRCA遺伝子(乳がんや卵巣癌のリスクに強い関連がある遺伝子)が、ホントは異常がないのに、異常があると診断されちゃったら、大変なことになるじゃないか!というような内容です。

たしかにおっしゃる通り。ほんとは異常がないのに、異常があると診断されて、乳房の予防的切除を受けるなんてことがあったら悲劇ですもんね。99.99% の精度でも1万分の1のエラーが起きますから。しかし、検査は『100%』じゃないのは、遺伝子検査に限らないはずですけど、なんで遺伝子検査だけ、そんなに目くじら立てるの?という意見があります。私もそう思います。

で、今回読んだのがこちら。

パーソナルゲノム解析の黎明期から、いまアメリカで起きている問題(23andMe の問題など)までが描かれています。
現段階ではゲノム解析でわかることは限られています。SNPでリスクが分かると言っても、280項目の SNP で全てが分かるわけではありませんし、これからもっと沢山の SNP と疾病との関連が明らかになってくれば、現時点では高リスクと診断された方も、将来的に結果がひっくり返る可能性があります。

ただし、病気の人から健康な人まで1万人くらい全ゲノム解析をバリバリ実施していけば、より詳細な遺伝子異常と疾病との関係が明らかになるだろうと思います。今後10年以内には、日常的な臨床の中にパーソナルゲノム解析の結果が採り入れられるのが普通になるだろうな、と感じました。

posted by 久住英二 at 18:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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