2014年07月31日

MRワクチン集団接種に行ってきました


7月30日に、大田区大森の株式会社 DISCO 様に伺いまして、麻疹風疹混合MRワクチンの集団接種を実施しました。250人の大人数でしたが、保健師さんがスケジュールを調整して下さり、順番に接種に来て下さったので、とてもスムーズでした。

医師が問診表を見てOKを出し、看護師がワクチンを接種します。看護師が接種している間に、医師がおたふく風邪や、水痘への罹患の有無や、予防接種の必要性について説明しています。
IMG_3362.jpg


細部小児科クリニックの細部千晴先生も手伝いに来て下さいました!午前診療を終えて駆けつけて下さり、午後診療に合わせて戻られました。小児科医、かつ母として、とても細やかな説明をいただきました。
IMG_3365.jpg


細部先生は一般社団法人 +Action for children の理事として、子どものために社会を変えていこう!と活動されています。
AFC.png

予防接種でハードルとなるのは、費用負担です。
個人でワクチン接種を受けた場合、確定申告の医療費控除の対象になりません。
検診や人間ドックと同様『予防』にかかった費用は『医療費』じゃないという扱いです。

しかし、企業で集団接種を実施して、企業が費用を負担した場合、それは福利厚生費となり、経費処理が可能です。ですから、黒字の出ている企業様でしたら、ぜひ集団接種を提供いただきたいです!(もちろん、過去の赤字の相殺が済んでいらっしゃったら・・・ですが)

国立感染症研究所の『職場における風疹対策ガイドライン』の中で、巡回診療による集団接種が推奨されています。

guide.png

今回の集団接種を担当したスタッフ一同です。
ヘルプに来ていただいた細部千晴先生、高橋幸江先生、今崎葉月ナース、ありがとうございました。
IMG_3367.jpg


麻疹風疹混合ワクチンの集団接種をご検討の企業様、ぜひご相談ください!
こちら→ massvaccination@navitasclinic.jp までメールにてお問い合わせください。
posted by 久住英二 at 06:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ワクチンの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月29日

天然痘

前回、種痘伝来の読書記について書きました。いろいろ調べていくと、とても興味深く、いろいろな本を買い込んでしまいました。
IMG_3361.jpg
天然痘オタクまっしぐらでございます。

しかし、過去の病気だと思われている天然痘ですが、こんなホットなニュースがありました。
天然痘ウイルスは、いままで世界で2カ所の、高度封じ込めレベルの研究室に保管されていました。ところが、NIHの古い倉庫を片づけていたら、ウイルスの入った瓶があった!と。

CDC Media Statement on Newly Discovered Smallpox Specimens

On July 1, 2014, the National Institutes of Health (NIH) notified the appropriate regulatory agency, the Division of Select Agents and Toxins (DSAT) of the Centers for Disease Control and Prevention (CDC), that employees discovered vials labeled ”variola,” commonly known as smallpox, in an unused portion of a storage room in a Food and Drug Administration (FDA) laboratory located on the NIH Bethesda campus.


何てこったい!ですね。
なにしろ、この天然痘ウイルスは、バイオテロに使われる危険が以前から示唆されていて、厳重に保管されていたのですから!臨床医学雑誌の最高峰 The New England Journal of Medicine にも、総説が掲載されたことがありました。
NEJMsp.png

日本では、1976年に種痘が廃止されたので、約40歳未満の人はほとんどが天然痘に対する免疫がありません。しかも、過去よりも都市化が進んでいますから、発生した場合は大流行することが予想されます。

Guardian 紙も『厳重保管されていた天然痘ウイルスを廃棄しようか、という議論は近視眼的だったね』という論調。何しろ、ラボの倉庫にコロンとウイルスが転がっているのだから、世界中のどこにウイルスがあってもおかしくないですものね。

guardiansp.png

日本では、種痘は中止されていますが、天然痘テロのリスクに対して、ワクチンの国家備蓄をおこなっています。いまはワクチンは化血研が製造しています。ちゃんと効果も確認済み!

Original Contribution | March 11, 2009

Clinical and Immunological Response to Attenuated Tissue-Cultured Smallpox Vaccine LC16m8

Context The attenuated, tissue-cultured, third-generation smallpox vaccine LC16m8 was administered to vaccinia-naive infants in Japan during the 1970s without serious adverse events. It is a good candidate for use as part of a prevention plan for bioterrorism.

Objective To assess the immunogenicity and frequency of adverse events of LC16m8 vaccine in unvaccinated and previously vaccinated adults.

Design, Setting, and Participants Between 2002 and 2005 we vaccinated and revaccinated 1529 and 1692 adults, respectively, in the Japan Self-Defense Forces with LC16m8 vaccine, given intraepidermally using a bifurcated needle. Vaccinees were examined 10 to 14 days after vaccination to determine if they had developed a major skin reaction (“take”). Neutralizing antibody responses among 200 participants were assessed using a plaque-reduction neutralization test 30 days postvaccination. We monitored vaccinees for adverse events for 30 days postvaccination.

Main Outcome Measures Documentation of a vaccine take, presence of neutralizing antibody response, and frequency of adverse events.

Results The proportions of take in vaccinia-naive and previously vaccinated individuals were 1443 of 1529 (94.4% [95% confidence interval {CI}, 93.2%-95.9%] and 1465 of 1692 (86.6% [95% CI, 85.0%-88.2%]), respectively. Seroconversion or an effective booster response among the individuals with take was elicited in 37 of 41 (90.2% [95% CI, 81.2%-99.3%]) vaccinia-naive participants and in 93 of 155 (60.0% [95% CI, 52.3%-67.7%]) previously vaccinated participants. One case of allergic dermatitis and another of erythema multiforme, both of which were mild and self-limited, were suspected to be caused by vaccination. No severe adverse events were observed.

Conclusion Administration of an attenuated tissue-cultured smallpox vaccine (LC16m8) to healthy adults was associated with high levels of vaccine take and seroconversion in those who were vaccinia-naive and yielded an effective booster response in some previously vaccinated individuals.
posted by 久住英二 at 15:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月27日

種痘伝来

かつて、世界には天然痘という恐ろしい感染症がありました。

PHIL_131_lores.jpg

天然痘ウイルスが原因で、全身にブツブツができ、致死率が30%ほどもある、恐ろしい感染症でした。
しかし、人間にしか感染しないため、ワクチン接種により、世界から根絶することができました。(一方、鳥や豚にひろく感染するインフルエンザは、いつまで経っても根絶できません。なにしろ、この世界の全ての鳥や豚に、H7N9 とか H5N1 とか、H5N8 とか、あらゆる型のワクチンをあまねく接種する、なんてこと不可能ですから。ちなみに、麻疹や風疹も、ほぼ人間にしか感染しないため、人間だけにワクチン接種をしてしまえば、ウイルスは居場所がなくなり、増殖できず、根絶が可能です。)

fonds6_affiche.jpg

『種痘伝来』には、そのワクチンが日本にいかにしてもたらされ、国内で拡がったか、について詳しく描かれています。


天然痘のワクチン接種は種痘と呼ばれ、人痘接種と牛痘接種がありました。牛痘接種は、ジェンナーが始めたことで有名ですね。牛の乳搾りをしている人は、ときどき牛痘という病気になりました。その人達が天然痘に罹らないことから、牛痘に感染することは天然痘を予防する効果があると考えられたのです。

人痘接種は、本物の天然痘に軽く罹るため、ときどき重症化して死ぬこともある、リスクの高い方法でした。ですが、天然痘が流行している時であれば、人痘接種で天然痘に軽く罹る方が死亡率が低いので、皆が接種しました。しかし、非流行期においては皆が受けたがらないものだったそうです。

牛痘接種は、天然痘ウイルスの近縁のウイルスを用いたワクチンで、天然痘に罹るおそれがないことから、人痘に取って代わりました。長崎に輸入された痘痂(牛痘の水疱のかさぶた)での接種に成功した一人から、つぎつぎに人に継がれ、半年ほどの間に全国に拡がりました。

これを成し遂げたのは、蘭方医、つまり西洋医学を学んだ医師達のネットワークである、と記載されています。当時の徳川幕府は、シーボルト事件以来、蘭方つまり西洋医学を禁制としていました。さりとて牛痘の効果は認めざるを得ず、黙認されていたようです。最終的には、効果を認め、幕府が推進するようになりました。

一般の人々は、それでも牛痘を恐れたため、医師の桑田立斎(越後出身の小児科医!同郷にそんな偉人がいたとは!!)牛痘菩薩なるイラストを書いて、啓蒙に努めたそうです。

HR051.jpg

牛痘の効果は、すぐにはわからず、後に天然痘が流行した時に、牛痘接種した人が天然痘に罹らないことが分かった、と。それが分かると、人は牛痘接種を乞うたと。

やはり世の中というのは、お墨付きの有無など気にせず、科学的に正しいと考えられることを自ら為す人たちのネットワークによって進歩していくのだな、と感じました。

風疹ワクチンを徹底することは、すぐには効果は分からないけど、将来の日本で風疹が流行しなくなることをもって、ようやく効果が知られるようになります。

遅々として対策は進まないけれど、弛まず已まず、自分ができることを進めていかなければならないのだな、という啓示をもらった一冊でした。
posted by 久住英二 at 06:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。